百田尚樹の「幸福な生活」は秀逸なオチが予測不能な新感覚の短編小説だった!

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百田尚樹の小説はこれまでたくさん読んできました。

百田尚樹の作品は映画化もたくさんされているので、一度は読んだことがある方も多いんじゃないかと思います。

今回は百田尚樹の小説の中では珍しい短編集の「幸福な生活」を読んだ感想を書いていこうと思います。

それぞれの短編タイトルが秀逸

今回紹介する幸福な生活は全部で19編の短編からなっています。

目次にある短編のタイトルを見て面白そうだなと思ったエピソードから好きに読めるのが短編集の良いところですね。

幸福な生活は「生命保険」など短編のエピソードタイトルが面白いのが特徴です。

雪女に関してはどんなストーリーなのか予想すらつきませんでした笑。

しかもどの短編も15ページ程度でちょっとした休憩時間にサクッと読めるのが良かったです。

最後の1行がオチになっている構成も斬新でなかなか面白かったですね。

途中からまるでクイズのような感覚で最後まで飽きずに楽しめました。

百田尚樹と言えば長編小説のイメージでしたが、本書のようなライトな感じで読める短編集もなかなか面白いな~と思いました。

幸福な生活を実際に読んでみた感想

幸福な生活はそれぞれのエピソードごとのタイトルがとても秀逸で、生命保険やブス談義、淑女協定など中身を読む前から絶対に面白いやんと思ってしまいました。

普通だったらあまり面白いタイトルを付けてしまうと逆にハードルが上がってしまって、実際に中身を読んでみたら話しがつまらないという失敗を犯しがちです。

これはサイトの記事を読むときを想像してもらうと分かりやすいと思います。

過激なタイトルに興味を持ってクリックしてみたら中身の記事が既に知っている情報しか載ってないあるいは情報が薄過ぎて読んで損したというパターンですね。

この失敗パターンはネットニュースによくありがちだと思います。

しかし百田尚樹の幸福な生活は秀逸なタイトルに負けないさらに読み手の想像の上を行くストーリーや結末が用意されているので、むしろ良い方向に作用しています。

さすが海賊とよばれた男などの大ヒット小説を多数執筆している人気作家だなと思いました。

たとえば雪女なんかは中身を読んでみると想像していた話しとはまるっきり違う物語が綴られていて「そうきたか~」と良い意味で期待を裏切られる短編作品でしたね。

3つくらい短編を読み終わった頃には次はどんな物語なのか短編のタイトルから予想するのが楽しくなってました。

おすすめの短編エピソードはコレ

個人的に幸福な生活の中で面白かったエピソードは生命保険と雪女、ビデオレターの3つですね。

この3編は短編ストーリーの中でも特にラスト1行のオチが秀逸で、楽しませてもらいました。

この3作品のオチだけは素人じゃ絶対に思いつかない練りに練られたまさに推理小説家顔負けの大どんでん返しでしたね。

普通、これだけ壮大で秀逸なオチを持ってくるためには伏線が丁寧に練られていないと全く効果がないんですけど、たった15ページの文章で張り巡らした伏線をしっかり回収して読み手の心を動かす物語が書けるのはさすがだと思います。

こんな短い文章では並みの作家なら一つの伏線すら満足に書けるかどうか分かりません。

短編集でも百田尚樹の巧みな心理描写は健在

あと百田尚樹の作品は今回の短編集に限らず登場キャラの心理描写が秀逸なので、物語で描かれていない事でも想像が膨らんで、登場人物の生い立ちや性格などが手に取るように伝わってきます。

この辺の文章構成の上手さや読みやすさというのが、他の作家と比べて百田尚樹が突出して優れている部分だと思います。

百田尚樹の小説はこのように物語にとても入り込みやすいので、もちろん活字を読んでいるんですが、読み手側としてはドラマや映画を見ているような感覚に襲われます。

これぞまさに百田尚樹作品の真骨頂ですね。

その才能はこの幸福な生活の短編小説でもいかんなく発揮されています。

普通は短編集だとどうしても文章が短いせいで内容があっさりしすぎてしまって何も印象に残らないという結果になりがちです。

僕も今まで何冊か短編小説を読んできましたが、記憶に残っている作品は数えるほどしかありません。

でも百田尚樹の幸福な生活は短編の弱点を物の見事に克服して、15ページという短い文章の中にもしっかり物語があって、長編小説に引けを取らない読み終わった後の心地よい読後感が味わえます。

ビデオレターは驚愕のラストに絶句!

そんな幸福な生活の中で僕が一番心に残ったエピソードはビデオレターですね。

この物語は19編あるエピソードの中でもダントツで内容がエゲつなくて結末が衝撃的でした。

よくこんな話を思いつくなと驚きを通り越して、恐怖すら感じましたね。

本当に読んでいる途中から鳥肌が立ってしまいました。

しかも最後のオチも驚くべき結末でこれがもしノンフィクションだったらもはやホラーより怖いと思います。

こんな妻がいたら夫は今後一生安心して眠れないと思います笑。

僕がもしビデオレターに登場する夫だったらビデオを見ている途中で発狂しちゃうと思います。

それほど怖かったです!

顔面蒼白の夫の顔が情景としてリアルに頭の中に浮かんできました。

ビデオレターを読んでみて、たった15ページでひとつの作品として完成させる百田尚樹は素人ながら本当に凄いなと思いましたね。

ビデオレターの他にも幸福な生活では喜怒哀楽の色んな感情が詰まったエピソードが収録されています。

なかには笑えるオチもあったりと感情がジェットコースターのように揺さぶられる作品でした。

書評まとめ

幸福な生活は色々なテイストの短編が読める一言で表すならバラエティセットのような小説でしたね。

百田尚樹は最近ではツイッターでの過激な発言が度々ネットニュースになったりしてますが、小説家としては素晴らしい才能を持っているので、これからも面白い作品を書き続けてほしいと思いますね。

幸福な生活は最初はどこにでもある普通の人々の日常の話しかと思いきや実際に読んでみると全く違いました。

この作品を読んで気に入ったら本格的な百田尚樹の長編小説を購入してみるのがいいと思います。

個人的には「永遠の0」と「海賊とよばれた男」が一番おすすめの作品ですね。

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