友だち幻想は要約すると村社会の考え方から脱却するための教科書!

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僕が友だち幻想を実際に読んでみて思ったのは本書は日本人に染みついた村社会特有の考え方を脱却するためのガイド本なんじゃないかという事です。

友だち幻想では目次をパッと見ただけで、今の自分にとって必要な部分が分かりやすい一文で記されているので、すぐに実用書として日常生活に活用することが可能です。

個人的に特に共感できた内容は「人は他者の二重性に振り回される」「スケープゴートの理論」「メール即レス」の3つですね。

特にメール即レス問題に関してはLINEに置き換えてみると非常に身近に感じられると思います。

あと本書の「同調圧力」に関する言及もとても参考になりました。

保育園のママ友の事例もかなり生々しくて共感を持ちました。

本書を読んでいる時は「これは分かるわ~」と共感できる部分がたくさんあって、学生時代を思い出して何度も心の中で頷いてました 笑。

今回はそんな友だち幻想についてレビューしていきたいと思います。

内容を要約するとこんな本です

友だち幻想はアマゾンでベストセラー1位を獲得した人気の書籍で、メディアでも大きく取り上げられ人気テレビ番組の「世界一受けたい授業」や「林先生が驚く初耳学」でも紹介されました。

本書では身近な友だち関係や家族関係、ママ友の関係など色々な人間関係になぜ振り回されて疲れてしまうのか、著者が体系化した2つの理論から分かりやすく解説してくれています。

著者の菅野仁さんが全く新しいアプローチで複雑な人間関係の問題に切りこんでいるので、本書を読めばきっと悩める現代人の生き方のヒントになると思います。

本書は現役教師の間でも話題になっていて、思春期の子供にプレゼントする親も多いそうです。

たしかに自分が中学生や高校生といった多感な時期にに「友だち幻想」の本を読んでいたとしたら色々な場面でかなり役に立ったと思います。

特に友だち幻想の中で繰り返し出てくる「同調圧力」に関する著者の見解は秀逸で、学校というある種閉じられた社会で人間関係を窮屈なものにしている根本的な原因だと思いました。

同調圧力に従わなければスケープゴートの理論によって排除されてしまうという村社会の古き習慣が新しい令和の時代になっても至る所で蔓延っていることは明らかですしね。

著者の菅野仁さんが言っているように高度経済成長期時代で当たり前だった村社会の人間関係の構築方法が現代になってもそのまま受け継がれてしまっているのがそもそもの問題だと思います。

昔は経済的にどの家庭もそれほど差が無かったので、同調圧力に従うのが普通だったかもしれませんが、現代はそれぞれが置かれている家庭環境や経済状況、家族構成などが千差万別で一つの理論に当てはめていくのはもはや不可能です。

あの頃のような一億総中流社会と現在とでは個々人の置かれている状況が全く異なるので、昔と同じつながり方をしていては弊害や軋轢が出てくるのは当然の事だと思いましたね。

友だち幻想を読んだ感想について

友だち幻想は著者の言葉がとても分かりやすく平易な文章で書かれているので、とても内容を理解しやすく自分自身の経験と照らし合わせながら読み進める事が出来ます。

専門的な難しい言葉は一切なく、普段私たちが使っている言葉についても本書の中ではこういう意味合いで使っていますと適宜説明が入るので、読者に対する気遣いが素晴らしい本だなと思いました。

本書を読んだことでなんとなく学生時代に感じていた事が言葉や文章によって明確に定義された気がしましたね。

人の気持ちという曖昧な部分をここまで端的に分かりやすい文章で説明しているのは本当に凄いと思いました。

これならベストセラーになるのも納得です。

どの章でも分かりにくい箇所が全然なくて「あれ?これはどういう意味なんだろう?」と疑問に思って読む手が止まってしまい、また同じ個所を読みかえすという無駄な時間がないのも本書の魅力だと思いますね。

なので頭の中に著者が言いたい事がそのままストレートに伝わってきます。

これほど分かりやすい言葉遣いで書かれているのは著者がこの本が出版されたら中高生の読者層も多くなるだろうとういうのをあらかじめ念頭に入れていたんだと思います。

本書はどんな人に役立つのか?

友だち幻想を実際に読んでみて、いつも特定のグループで行動することに疑問を感じている人や他人の意見に合わせる自分に疲れたという悩みを持っている人にぜひ読んでほしい1冊だなと思いましたね。

特に人間関係で悩んでいる中学生や高校生には本書は一筋の光になると思います。

十代の頃は視野が狭くなりがちなので、本書の様な考え方を取り入れて視野を広くすることが一見がんじがらめのどうにもならない状況を突破するきっかけになるかもしれません。

もちろん大人の方でも過去を思いかえして、自分が今まで人間関係の壁にぶち当たった時にどのような対応をすれば良かったのか色々なケースを思い浮かべながら答え合わせをするのにとても役に立ちます。

過去のイザコザで人間関係に亀裂が入った経験は誰しもあると思いますが、あの時の自分の対応のどこが不味かったのか知りたいなら本書はきっと問題をあぶり出すヒントを与えてくれると思います。

同調圧力という人間関係に潜む罠

特に本書で僕がとても共感したキーワードが「同調圧力」です。

漢字だけ見ても大体の意味は想像できますが、本書では人間関係における同調圧力について著者がこれ以上ない明快な言葉で説明してくれているのでとても分かりやすかったです。

冒頭でも少し触れたんですが、著者の菅野仁さんが実際に体験したママ友の事例がとても分かりやすくて「同調圧力」をものの見事に表している事例だなと思いましたね。

著者がママ友同士がいつまでも立ち話をしている光景を見て不思議に思い、帰宅して奥さんにママ友がずっと立ち話している理由を何だと思うか尋ねたところ返ってきた奥さんの答えがとても的確でその観察眼の鋭さに感心しちゃいました。

奥さんの答えを読んで自分だけハブられるのが怖いという理由で子供を保育園に送った後もずっとママ同士が疑心暗鬼になりながらも雑談している光景がありありと目に浮かびました。

これはある意味、強迫観念に近い心理状態だなと思いました。

たしかに著者の奥さんが話したような理由がなければ、忙しい主婦たちが子供の送り迎えの後に毎回時間を削って、グループになって話しているのはさすがに奇妙です。

だってママ友というのは子供が一緒の幼稚園に通っているだけで一般的な意味での友だちではありませんからね。

中には気の合うママ友もいるかもしれませんが、毎回特定のグループで集まって送り迎えの時に話しこむのは明らかにおかしいと思います。

他にも本書で登場した大学生が自分の高校時代を振り返ってあの頃ずっともやもやした気持ちが消えなかったのはこの「同調圧力」によるものだったんだと気がつきスッキリするエピソードなんかは本当に興味深かったです。

それだけ同調圧力の罠というのは私たちの身近な人間関係に潜んでいるんだな~と本書を読んであらためて実感させられました。

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