出典:映画.com
映画「ウインド・リバー」はアメリカのワイオミング州にあるウインド・リバーという先住民保留地が物語の舞台となっています。
物語の内容はアメリカ社会が昔から抱えるネイティブアメリカン女性にまつわる深い闇に焦点を当てた社会派スリラーです。
本作でダブル主演を務めたのがアベンジャーズシリーズで有名なジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンです。
ジェレミー・レナーはウィンド・リバー保留地で野生動物のハンターをしているコリー・ランバートを演じてましたが、
愛する娘を亡くした悲しい過去を持つ悲哀に満ちた男性キャラがとても似合ってました。
本作では両方の俳優とも演技が素晴らしく、ヒーロー映画よりもこういったシリアスなテイストの作品の方が合ってるんじゃないかと思いました。
特にジェレミー・レナーは彼の出世作となった映画「ハートロッカー」で演じたウィリアム・ジェームズ一等軍曹に似たキャラクターの演技がまた見れてちょっと感動しちゃいました。
やっぱりジェレミー・レナーは軍人ぽい役が似合いますよね。
今回は久々に良作だった映画『ウインド・リバー』についてレビューしていこうと思います。
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ウインド・リバーの物語は実話だった!
ウインド・リバーの映画を見て驚いた方も多かったと思いますが、物語のストーリーはフィクションではなく実話を基に制作されています。
本作で描かれていたあんな悲惨な事件が現実に起きていたと考えると恐ろしいですが、アメリカ社会の闇の一端を垣間見た気がしました。
あんな大自然の寒さが厳しい凍った大地に白人によって追いやられずっとその土地に長い間、生活してきた先住民族の厳しい現実が映像を通してリアルに伝わってきます。
ウィンド・リバー保留地の夜は気温がマイナス30度という極寒の地で、
少女が遺体で発見されその事件捜査にFBIの新人捜査官ジェーン・バナーが派遣されてくるんですが、
すぐにこの極寒の土地に対する自分の認識の甘さを思い知ることになります。
そんな頼りない彼女をサポートするのがジェレミー・レナー演じるランバート。
この土地の自然を知り尽くしたランバートはバナー捜査官と一緒に真相究明に乗り出します。
ところが、犯人と思われていた少女の恋人のマット・レイバーンが遺体となって見つかり捜査は振り出しに戻ります。
その彼氏が働いていた掘削所に話を聞くため人員を引き連れて警察長とバナー捜査官は施設に向かいますが、
実は同僚の男たちが全員グルの事件の犯人で激しい銃撃戦になります。
こんな無法者の連中が自分たちが生活する土地にいるなんて想像しただけで恐ろしくなります。
実話をベースにした本作ではウィンド・リバー保留地に追いやられたネイティブアメリカン女性の過酷な現実がとてもリアルに描かれていました。
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ジェレミー・レナーの悲哀に満ちた演技が圧巻!
ウィンド・リバー保留地の事件の真相…
それはウィンド・リバーのようなネイティブアメリカンの保留地でこれまで幾度となく繰り返されてきたアメリカ社会の痛ましい現実が引き起こしたものでした。
州警察や郡警察もこの土地で起きたことには関与しない姿勢をとっているため法執行機関の力が及ばず、
ネイティブアメリカン女性が失踪する事件が度々起きています。
しかし一向に事態は改善する兆しはなく、中央のアメリカ政府も手をこまねいているのが現状です。
そのためウィンド・リバー保留地はいわば無法地帯と化しておりこれまでも幾度となくネイティブアメリカン女性の失踪事件が未解決にもかかわらず、
具体的な対策が講じられないまま見過ごされ闇に葬られてきました。
そんな法の力ではどうしようもできないアメリカ社会の闇を主人公のランバートが白人の犯人に正義の裁きを下すという結末で映画は終わります。
本作でジェレミー・レナーは過去に理由も分からず娘を亡くした悲しみをずっと背負ってきた一人の男の人生を熱演!
悲哀に満ちた主人公を見事に演じ切ります。
感情はあまり表に出さず淡々としているようで、心の奥底には静かな怒りをいつも抱えている難しい役柄の主人公を圧巻の演技で表現していましたよね。
まさに映画『ウィンド・リバー』はジェレミー・レナーの作品と言っても過言ではありません。
個人的にはアベンジャーズのホークアイより全然、ウィンド・リバーの演技の方が評価が高かったです。
アベンジャーズではその他大勢のヒーローの中に隠れてしまってあまり存在感がありませんからね。
ジェレミー・レナーはサブキャラよりむしろウィンド・リバーみたいに主人公を演じる方が俳優としての魅力が引き立つ気がします。
新人のFBI捜査官を演じたエリザベス・オルセンの演技も素晴らしくて、この2人が主演だったからこそウィンド・リバーはここまで人の心を打つ作品に仕上がったんだと思います。
まとめ
ウィンド・リバーの物語はとても法治国家で起きた事件とは思えない凄惨さでした。
犯人の男たちも一見するとただの現場作業員の労働者ですが、一皮むけば犯罪者となんら変わらない本性を隠していることが驚きでしたね。
普通は部族警察を相手に戦おうなんて思わないと思いますが、
掘削施設で働く犯人の男たちはこの施設は借用地だから警察も介入できないと強弁して不法侵入を盾に部族警察に銃撃戦を挑んできたのはこいつら正気かと思いました。
ただの掘削施設の労働者にも関わらず警察やFBI捜査官を相手に銃を撃つなんて、この土地では常識が全く通用しない事を思い知らされました。
アメリカにこんな現実があったなんてウィンド・リバーの映画で初めて知りました。
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